ストーリー

これはメタリカについての映画ではなく、「人と人との関わり合い」を描いた映画なんだ《ラーズ・ウルリッヒ(メタリカ・ドラマー)》

撮影が開始された当時、メタリカは長く活動をともにしたベーシストのジェイソン・ニューステッドの脱退に見舞われていた。メンバー同士の人間関係もかつてないほど険悪。長い間ツアーやアルバム・リリースがなかったために、ファンもマスコミもメタリカの将来に不安を抱いていた。創作の面でも、パーソナルな面でも最悪の時期に、ニューアルバムのレコーディングを開始する必要に迫られ、バンドのマネジメント(Qプライム)は分裂寸前のメンバーをまとめる最終手段として、セラピストを雇うことを提案する。
レコーディングと並行してセラピーを続けるうちに、メンバーは長年一緒に活動していたにも関わらず、お互いの本音をほとんど理解していなかったという思いに直面する。ボーカルのジェームズ・ヘットフィールド(3児の父)は、セラピーの過程で図らずもアルコール依存症のリハビリに入院することになった。彼は1年近くもアルバム・レコーディングを放り出してしまい、バンドの将来が危機に瀕した・・・。

観客はこの映画を見ながら、アルバムが完成するまでの嵐のような3年間を、バンドと共有できる。
バンド解散の断崖絶壁からの再生、そして新たなNO.1アルバムを携えて即日完売のワールドツアーを行う最強のへヴィ・メタル・バンドの姿を。

自分自身の中にいる悪魔、他のメンバーと自分との関係、そして激変する音楽産業と対峙するバンドメンバーの自己探求の過程を、バーリンジャーとシノフスキーは、驚くほど密着して映像記録として収めることに成功した。この舞台裏を描写した製作者の優れた撮影法により、観客は今回のメタリカのアルバムの新たな制作プロセスを目の当たりにする事ができる。そしてメンバーが自分の家庭生活と、20年かけて築きあげたバンドのステータスの維持を両立させるための葛藤もまた垣間見ることができる。